追悼 伊福部昭
2006-02-12 Sun 16:35


【伊福部昭の芸術1 譚 - 初期管弦楽】(1995)

伊福部昭が亡くなった。
中高生の頃はフォルクローレのLPより、伊福部のLPだった。
キングレコードから出た『「日本の太鼓<ジャコモコ・ジャンコ>」「交響譚詩」』『「シンフォニア・タプカーラ」「合唱頌詩オホーツクの海」※1』が宝物だった。
あのころの伊福部はそろそろ70代に手が届こうかというところだったが、「元来長寿の家系で」などとどこかで読んでいたので、まだまだ元気なものと思いこんでいた。

単純に邦楽器をフィーチャーすればそれで良いという安易な発想はこれきしもない。邦楽のメロディーや「わびさび」を混ぜようなどというチープな発想もみじんも見られない。常に自分のルーツと心性に向かい合った結果生まれたプリミティヴな躍動感と音
コレこそ今の日本で一番「フォルクローレ」している音楽だろう。
彼の音楽に関してはもう語り尽くされたから、もうこれ以上、私がここで述べるまでもない。※2

ご紹介するべきディスクは多々ある。
しかし、ここでは入手しやすく、好演奏、好録音で、初期の情熱が込められた音楽ということでデヴュー作『日本狂詩曲』(1935)が収録された1枚を。※3

ところで伊福部の亡くなった翌日の各紙は「ゴジラの作曲家」という表現ばかりだったので驚いた。
しょせん、一般的にはそのような認識かと思いながらも、考え直してみるとあのゴジラのテーマは確かに伊福部のもっとも伊福部らしいところを表した名曲であると改めて思い直した次第。※4
【注】
※1
「合唱頌詩オホーツクの海」のCDが手に入らない。考えてみたら、シリーズ「伊福部昭の芸術」に収録されていない。私はこの曲に深い思い入れがあるので、ぜひとも新録していただきたい。とりあえず、レコードをCD-Rに焼くしかないか。
※2
かつてLPの解説で伊福部の音楽をさして「縄文土器のような」という表現がなされていたが、これほど伊福部の音楽の特質を表している文章はないと思う。ところで詳しいことをお知りになりたい方は、
木部与巴仁『伊福部昭 音楽家の誕生』(新潮社)1997
をご一読されたい。
※3
ラヴェルが審査員に名を連ねると聴いた伊福部がチェレプニン賞に応募。1位を獲得したデヴュー作。
3年後、この曲のラジオ放送を自宅で聴いたシベリウスがすぐに指揮者の小舟幸次郎に電話をかけ、伊福部を大絶賛したという。
※4
あの重低音のメロディの執拗な繰り返し(オスティナート)こそ伊福部の特長であり、日本人の本質にある根元を揺さぶるものかも知れない。



「日本狂詩曲 1.夜曲」山田一雄指揮/新星日本交響楽団


「日本狂詩曲 2.祭」山田一雄指揮/新星日本交響楽団


【アルバム・データ】
<CD>
伊福部昭の芸術1 譚 - 初期管弦楽 KICC 175 (1995)
広上淳一指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
FIREBIRD(KING RECORD)国内盤
1 日本狂詩曲(1935)
 1. 夜曲
  2. 祭
2 土俗的三連画(1937)
 1. 同郷の女達
 2. ティンベ
 3. パッカイ
3 交響譚詩(1943)
 1. 第1譚詩 アレグロ・カプリッチオーソ
 2. 第2譚詩 アンダンテ・ラプソディコ




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