風は歌い、野獣は叫ぶ……サンタナ
2006-06-09 Fri 00:12


【SANTANA / "ABRAXAS" 】(1970)


いや、でも実際いないよね。ラテン聴くヤツって。

あなたのクラスで、または職場で。
クラスメイト、
同僚、
上司、
彼女。

会ったときからラテンファンっていた?
ティト・プエンテの大ファンです」っていう中学生とか、
「プエルトリコのボンバプレーナ聴くと、明日も頑張ろうって気になりますぅ」っていうOL

でもこれはみんな聴いてるんじゃないかな。
ラテンロックの英雄、サンタナ。
数年前、様々な若手アーティストとコラボレーションしたアルバム「スーパーナチュラル」でグラミー賞を総ナメにしたことは記憶に新しいと思う。※1
このサイトをご覧いただいている方々は、フォルクローレ・ファンが圧倒的に多いので、「アメリカ商業主義の中で生まれた『ロック』か」なんて人もいるかもしれない。※2
しかし誰が何と言おうと、彼の初期4部作が歴史に残る傑作であることは、まず間違いない。また、あまり語られないけど、ラテンアメリカの音楽界に与えた影響も実は馬鹿にならない。
聴いておいて損はない!

ところで、サンタナを評して「ロックにラテン・パーカッションを導入、云々」という常套句がよくある。
まあ、サンタナのバンド編成の成立過程だけみればその表現は間違っていないのだが、音楽的にその表現はノ・ノ・ノ

多くのファンから最高傑作といまだ謳われ続ける2nd「ABRAXAS / 天の守護神」を聴いてみれば、「ロックにラテン・テイストを加味」なんて言い方が出鱈目だってことはすぐに分かる。
ボレロサンババルスもあれば、メレンゲありーの、ルンバありーの、マンボだとかチャチャチャだとか。
そういったおなじみのラテンのリズムをロックのノリで演奏している、といった方が遙かに近いのだ。
いや、もちろんアルバムによってカラーは変わるし、3rdはロック色(というよりは、サンタナというバンドのオリジナル色)の強いアレンジになっているのは事実だが、それでも彼らのベースは頑固なまでに、あらゆる地域のラテン・リズムなのである。※3

未曾有の傑作「ABRAXAS」は日本でも大ヒットしたアルバムであり、中でも「ブラック・マジック・ウーマン」「僕のリズムを聞いとくれ」などはよく知られている。
多くの日本人がロックを聴いていたつもりで、知らず知らずのうちにラテンの虜になっていたということになる。
サンタナの入門者は、まずこのアルバムから聴いて欲しい。
いきなり、2nd、3rdで神がかり的に完成された世界観を作り上げてしまったサンタナなりのラテン魂。
発表されてから36年。聴けば聴くほど、その凄さに恐れなす永遠の名盤である。


【注】
※1
シングルカットされた"SMOOTH" を、野口五郎が「GORO」名義でカヴァー。タイトルは『愛がメラメラ』。なんでやねん。
※2 
アメリカ人といっても、メキシコ出身。正真正銘のチカーノである。アメリカでは、ますます拡大するヒスパニック層から、ケッツアルやザ・トライブ・オブ・ジプシーズなど自分の血と地面と社会を見つめ直した面白い音楽が続々生まれている。
※3
某世界最大手のネット書店で、サンタナのアルバムのページというページにひたすら「サンタナはラテンではない。どう聞いたってアフリカだ。ラテン音楽は陽気でのんきな音楽だ。サンタナのどこが陽気なのか。アフリカとラテンの違いも分からないヤツは去れ」という書き込みをしまくっている人物がいる。ラテンとアフロの歴史的な関係も知らない己の無知を自慢する様は必見だ。




"Black Magic Woman / Gypsy Queen" 1981年の日本公演。


【アルバム・データ】
<LP>
SANTANA "ABRAXAS" (1970)
COLUMBIA KC30130 (USA)

01.Singing Winds,Crying Beasts
02.Black Magic Woman/Gypsy Queen
03.Oye Como Va
04.Incident At Neshabur
05.Se A Cabo
06.Mother's Daughter
07.Samba Pa Ti
08.Hope You're Feeling Better
09.El Nicoya

<CD>
SANTANA "ABRAXAS" (1970)
SONY MHCP 998
●一応、CDは先月発売されたばかりの日本限定・紙ジャケット盤のレコ番。96年盤はSRCS 9044。
●でもこのアルバムは何度も再発されているのでまだいろんなレコ番があると思われる。


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