何てったってプレンダードス
2005-10-18 Tue 01:26

【PRENDADOS / "Identidad" 】(2004)


なんてったってアイドルである。

ジャケットからしてカメラ目線でビシバシ、ガンをとばしてるのである。
まあ、アルゼンチンでノチェーロスがものすごい勢いでブレイクしたので、「じゃあ、うちも」っていう計算なんだろう。
正直、最初はちょっと小馬鹿にしていたかも。

だってチャランゴ、サンポーニャ、ギター、ケーナができるやつを集めるのは簡単だけど、それだけじゃ駄目で、イケメンじゃなくちゃいけないんだよ?
しかもボリビアでだよ?
みんな思い出して見ようよ。
今人気のあのコンフント、このコンフント……。OK?

…ってな感じで初めて聴いたときの評価は、「どうせ顔だけでしょう?」という長年にわたるひがみ根性から生まれた偏見か、うかつにも「?」とか「まあ、洒落てはいるけどねえ」などと流してしまったのだ。
その後「アイデンティティ」という意味のタイトルを持つセカンドアルバムを車の中でBGMとして聴いたわけだ。



迂闊であった。





"Tenerte Otra Vez"


「色眼鏡でモノを見てはいけない」などとえらそうに生徒に講釈をたれていた私が、その不明を恥じいる次第だ。※1
穴があったら入りたいとはこのことである。
あくまで「フォルクローレを聴こう」と構えていると、このような「おいしいアルバム」をうっかり「CDラックの肥やし」と判断し、永久に封印してしまうことが、ままあるものだ。
もし、たまたま車に持ち込まなかったら、このCDはラックの底でCD腐食時限を迎えて一生を終わっていたに違いない。
愛車で軽快に国道122号線※2をクルージング(←だって埼玉県人なんだもん!)しているときは、やはりポップスやロックが似合う。
ノリが大事なのだ。
このアルバムはそうした都市型のロック・ポップスが持っているセンスを持ち合わせている上、何といってもサウンドがオシャレなのである。
トーバス、ティンク、タキラリ、スリ、チュントゥンキ、サヤ・カポラル……とボリビア伝統オンパレード状態でありながら、フォルクを聴かない、い~や聴きたくもないという若いおネエちゃんたちにもお薦めできるシャレたサウンドが実に心地よい※3
ラテンポップスのアルバムとしても成立しているのである。
アレンジがなかなか凝っている。
捨て曲がない。

しかもヴォーカル、コーラスが実によい。
一昔前はボリビアのコンフントじゃこんなブルージーな歌い方をする人は、サウル・カジェーハスぐらいしか見あたらなかったよなあ。
日本のアイドルってこんなビブラート、出せねえよなあ、と関心しきり。

このアルバムは演奏もスゴイ。
ただし、前作があくまで「本人たちの演奏」※4を謳っていたのに対し、今作では「他の人に演奏してもらってます」といわんばかりのクレジットで開き直っている。
開き直った人ほど怖いものなしの人はないが、開き直ったアルバムも相当怖いものなしだ。
ゲストにはフアン・カルロス・コルデーロ、エドゥアルド・ヤニェス、サウル・カジェーハス……とあまりの豪華さに目がくらむ。

1曲目のトーバスを聴けばめまいも起きる。
何とエルメール・エルモッサがヴォーカル参加!
エルメールですぞ?※5
タキラリでは畏れおおくも国民的大歌手グラディス・モレーノ

つくづく恐ろしいアルバムだ。※6

【注】
※1
でも考えてみたら、70年代~80年代のアルバムジャケットはカルカスにしろ、サビアにしろみんなビジュアル系だったよね。ウリーセスもガストンもヒメネスも女の子がキャーキャー言ってたよね。
※2
埼玉県のドライバーは女の子もじいちゃんも122号線のことを「ワンツーツー」と呼ぶ。「ひゃくにじゅうにごうせん」なんて呼び方があることを忘れるくらいだ。だから埼玉県民はこれを全国で通じる言葉だと思って、信じて疑わない。
※3
このアルバムのタイトルには(MUSICA BOLIVIANAではなく)MUSICA CONTEMPORANEA BOLIVIANAとわざわざ書いてあるのだ。
※4
もちろんウィルソン・モリーナやらルイス・ギジェンやら豪華ゲスト入りだ。
※5
実はチャランゴがカルカスの長兄ウィルソン=エルモッサの息子ゴンサロ=エルモッサなのだ。彼は2005年を以てプレンダードスを脱退し、カルカスへ移籍した。
※6
ちなみに「アイドルといえばカッチャス」という風潮があるようだが、カッチャスについては個人的に全く理解できないので一切ふれなかった。決して「もてるヤツらは嫌い」とかそういうのではない。


【アルバム・データ】
<CD>
PRENDADOS / "Identidad"
I.B.-II-04 D.L.4-4-142-04 (2004)
(BOLIVIA)

1 POR BOLIVIA (tobas)
2 SE ACABO (cancion Boliviano)
3 TENERTE OTRA VEZ (tinku)
4 QUISIERA SER (suri)
5 MORIR POR TI (cancion Boliviano)
6 LLENA MI SOLEDAD (chuntunqui)
7 MADRE MIA (cancion Boliviano)
8 PEQUEN~O AMOR (chuntunqui)
9 SIN TU AMOR (saya)
10 EL CARRETERO (taquirari)

●ボリビアの人気グループの2004年盤なので、入手は比較的楽……といいたいのだが、気になることがひとつ。このアルバム、レコ番はあるのだが、レーベルがわからないのだ…。

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