田舎へ行ってかほりを嗅ごう!……アヨパヤマンタ
2009-01-21 Wed 23:34

【 AYOPAYAMANATA 】(1990)

おお。ついにCDリイシューされたか。
90年代後半、日本ファンの間でも人気のあったアヨパヤマンタ。そんな彼らの ' 90年発の好盤だ。もっとも、このアルバム、90年代後半ファンにとっては単に「田舎臭え」だけかも知れない。
しかし、いやいや、この田舎臭さ。
ううむ、たまらん。

●アヨパヤマンタだけにしか出せない音
わかるかな。素晴らしき田舎臭。なんというカントリー・アロマ。
カエルの鳴き声、蝉の鳴き声、小川のタニシにマッカチン。モズの早贄、ヘビの抜け殻、フナ釣り、セリ摘み、王手詰み(←?)。

カルカスやルス・デル・アンデに田舎の香りは似合わない。
さあ、このアルバムを聴きながら目をつぶって想像してみたまえ。
ああ、何と香しき農家の藁束。積み上がった堆肥の発酵臭。道ばたの馬糞・牛糞・肥だめよ。鼻が曲がるわ、もげ落ちる。
似合う。似合いすぎる……いや牛糞そのものである。
あえて彼らのサウンドを分類すれば、カルカスの影響が明白なネオ・フォルクローレそのものだ。なのに、なぜか全てが田舎臭い

もっとも、アルバム『Kalistia』( '95)以降の音は「カッコよさ」追求にかなりの重点を置くようになる。それゆえ多くのファンを獲得することになるが、そのことによって失ったものの何ともったいないことか !!
そう、『Kalistia』以降のアルバムを聴くと、田舎の香りが全く合わないのだ!

嘘だと思うなら、今、カリスティアを聴いてみたまえ。牛糞を目の前に用意して、臭いを嗅いでみたまえ。うわあ、なんと似合わない !!

世の評判が高まるにつれて、どんどん臭いが消えていく。
例えるなら、高校時代、明るく元気で純朴で。えらく田舎臭いけどとてもいいコだった○○ちゃん。東京は新宿歌舞伎町、久しぶりに見かけたあのコは、原色コーディネイトにきつめのメイク・ヘアスタイル。このとき感じるこの気持ち。あらまあ、大した変身でねえか、という気持ちと、おめえ、何変なかっこしてんだ、○×村出身のくせに。という二律背反。

●アウトクトナ成分とネオ成分の分量
彼らがネオ・フォルクローレに田舎のアウトクトナ風味を加えたのは、果たして意図的だったか、たまたまそうなっちゃただけなのか。まあ、この際、そんなことはどうでもよろしい。とにかく、同じ土臭い骨太なサウンドが受けていたアワティニャス Awatin~asと同様、90年代アウトクトナ的ネオ・フォルクローレ・サウンドの一翼を担うようになるのである。だが、そういうポジションを得るにはアワティニャスもそうだったように、田舎的成分と都市的成分の分量実験のアルバムの存在があってこそである。どこにポジションを置くべきか、どの位置だったら多くの人々に訴えることが出来るのか、そのバランスを探して後の彼らのヒットがある。ただ、後のポジションこそが正解とは限るまい。どの位置が優れているかというのわけではないのだ。

さあ、とにかく聴いてない方は一度、虚心坦懐になって聴いてみてほしい。ホント臭いから
でも田舎の臭いって病みつきになるんだよ。
諸君、心してボリュームを大音量にしてくれたまえよ。さて、わたしも……んん?
またしても曲順がリリース時と違うではないか !!!!!!!!!

【注】
※1
んん?またしてもCD-Rリリースではないか !!!!!!!!!
んん?盤面レーベルはシール貼ってあるだけではないか !!!!!!!!!!

※2
んん?アルバム・タイトルまで変更しているではないか !!!!!!!!!!!

※3
両者とも「アウトクトナっぽくざらつくサウンドのネオ・フォルクローレ」だとはいっても、お互いまったく性質が違うと言ってよい。アウトクトナ傾向の強いアワティニャスは、グルーポ・アイマラのように1曲1曲のコンセプトが明確でアルバム全体で調和を取る。ヴォーカルも「歌謡曲もの」の扱いではなく、ロックのヴォーカルのようにこれを楽器の一つとして取り扱う。アヨパヤマンタは世界中のポップスのアルバムがそうであるように、インスト、歌モノともにレパートリー1曲1曲のカタログ的要素の濃いアルバムである。そう考えると、アワティニャスはアイマラの正統な後継者バンド、アヨパヤマンタはあくまでネオ・フォルクローレバンドと、指向性が分かれるのである(グルーポ・アイマラの持つ「コンセプト性」についてはGrupo AYMARAの項目を参照)。




●"VIEJO RECUERDO"

【アルバム・データ】
<LP>
"AYOPAYAMANTA" (1990)
Lauro Records BO/LRL-1612 (Bolivia)
1. LAS AZUCENAS (Huayn~o)
2. CH'ASKA CHILIJCHI (Huayn~o)
3. LA HEROINA (Cueca)
4. EL CHIVO LOCO (Bailecito)
5. TU REGRESO (Saya)
6. VIEJO RECUERDO (Chuntunqui)
7. SICREADA TRADICIONAL (Sicureada)
8. DIABLADA CACHARPAYA (Diablada)
9. SARK'AWAY (Huayn~o)
10. ANTONIO MOCHO (San Juanito)
11. LA TAMIA (Pujllay)

<CD>
"AYOPAYAMANTA / Las Azucenas"(2007)
Lauro Records LCD-0698 (Bolivia)
1. LAS AZUCENAS (Huayn~o)
2. CH'ASKA CHILIJCHI (Huayn~o)
3. SICREADA TRADICIONAL (Sicureada)
4. DIABLADA CACHARPAYA (Diablada)
5. SARK'AWAY (Huayn~o)
6. LA HEROINA (Cueca)
7. ANTONIO MOCHO (San Juanito)
8. TU REGRESO (Saya)
9. VIEJO RECUERDO (Chuntunqui)
10. EL CHIVO LOCO (Bailecito)
11. LA TAMIA (Pujllay)

●曲順が違えば、全く印象も違うよ。ぜひ、曲順を入れ替えたプログラムを作ってお聴きいただきたい。


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