伝説のアイマラ!
2005-10-19 Wed 13:15

【Grupo AYMARA】(1982)

どの音盤が「名盤」かって人によって違うんだよね。

……そんなの当たり前じゃないというあなた。
……でも「本当にいいもの」は歴然として存在する!
  この名盤がわからないヤツは耳が悪いだけだ!というあなた。

まあ、意見はいろいろあっていいんじゃないかな。
吉野家の牛丼だって、ネギダクダク※1がいいって人から、果てはツメシロ※2がいいって人までいろいろだし。
卵一つとったって、かき混ぜ派もいれば、そのままぶっかけ派もいるわけだし。
人によって、こういう食い方がウマイってのは違うから。
こうしなくちゃいけないってルールはないもの。※3

あんまり牛丼についてつっこみすぎると、肝心の本題に永久に到達しないので、まあこの話題は別の機会に譲るけど。

カミングアウトすると。
フォルクローレ界最大の名盤に数えられているグルーポ・アイマラの伝説的な1stアルバム"CONCIERTO EN LOS ANDES DE BOLIVIA" (1973)を初めて聴いたのは15年ほど前。
実はリアルタイム世代ではない私にとっては全くピンとこなかった
実はこれを聴く前に、すでに私は他のアルバムでアイマラの洗礼を受け、そのサウンドに恍惚となっていたのだ。
2nd以後の作品に比べるといかにも未完成に感じてしまったのだ。

みんなが絶賛する1stアルバムは、アイマラの音源としては、現在、ボリビアで唯一CD発売されているフルアルバムだ。
しかし、上記の理由で私はこの1stアルバムをご紹介するつもりはない。

2ndアルバム"Imantata"以降のすばらしさは、いずれすべてご紹介したいと思っているくらいだ。
しかし、音楽というものは、その当時の社会や常識などさまざまなものを含んだ文脈の中で、発信され、受け止められるものだ。
さらに個人個人の音楽歴や人生観のフルイにかけられた上で各個人に受け取られるものだから、私が1stアルバムにあまり感動を覚えなかったのは、やむをえないことではある。

当時のフォルクローレ産業はやはり、根っこを大切にしたアーティストも多かっただろうが、単に「素朴さ」を売りにしたようなアプローチのコンフントも多かったのだと思う。

そこにエッジのたったトヨスのサウンドをギターの低音に乗せるという、アウトクトナを洗練させた"MI RAZA"(1st収録)が大きな衝撃をもたらしたことは想像に難くない。

当時の人々にとって衝撃だったのは頭ではわかるのだが、私にとっては先に聴いてしまった2nd以降のアルバムの方が衝撃だった。残念。

まあ、もうすこし、私の幅が広くなったときに再聴してみて感動する日が来るかも知れない。

ということで私がアイマラの最高傑作!と推すアルバムは……しかし、どれもこれも凄いのだ。
コンセプトも1枚1枚違うので、単純比較して優劣をきめるわけにもいかないし。

「名盤」の定義は色々あれど。
それを作曲だけじゃなく、「誰にもまねできない稀有な演奏が収録されているもの」としたときにチョイスしたいのが、5thアルバム「Grupo AYMARA」だ。

A面はネオフォルクローレ、B面はアウトクトナという構成。
アルバム全体の構成にこだわっちゃう構成フェチの私としては「なんて安易な!」と怒り出してしまうところだが、これは違う。

素晴らしすぎる。

A面はカッコヨクも落ち着いた、それでいてエッセンスの濃い作品が目白押し。
2曲目の"SARIRI 1y 2"などに至っては、後にペルーやエクアドルなどの様々なグループが競ってコピーし、もはやスタンダードと化した名曲だ。※4

しかしB面は、そういった曲の哀愁・かっこよさ・ノリになれた耳を頭ごと大きく揺さぶるアウトクトナの名演奏オンパレードだ。

いわば、淡泊な吉野家の牛丼特盛りを途中まで食して、まだまだ食べたいけど、そろそろこの先飽きてくるかも?というところで卵と七味をぶち込んだようなもので大変な興奮だ。はふはふ。

B面1曲目に収録されたJILAKATASの鬼気迫るトヨスのサウンドは滅多に聴けるものではない。

続いて2曲目のタルケアーダは、その制御しがたい荒々しい音色と洗練性などみじんも考えないユニゾン(とにかくパートなんかなく一斉に声を出して歌うのが基本!)とのコンビーネーションに魂が打ち震えるような興奮を呼び起こす!

あまりの名演奏に、「これがクライマックスか」と思っていたら大間違いで、続くスリは1拍子のリズムに乗せた迫力のシクーリ。
この曲にも身を乗り出せ!
休む暇なんかない。
軽く精神の均衡を失いそうな錯覚を覚えるほどだ。

さらにテンポを軽い駆け足に早めたスリが追い打ちをかける。

ラストは大迫力の祭囃子の中で、チャンチキと全く同じようなサウンドが聴けるが、誰かこの楽器をご存じの方教えて?

【注】
※1
牛丼のアタマ(肉とタマネギ)の部分のうち、タマネギの量を大量にする注文。バイトや社員の人気メニュー。
※2
シロとはご飯のこと。つまり冷たいご飯で牛丼を盛る猫舌常連さん専用の伝説的特別注文。ただし築地店のみに通用。
※3
とはいうけど、私はツユダクなんてあんなまずいもの絶対ごめんである。
個人的には当然こだわるよ。
あのわけのわからん「ツユダクブーム」以降、注文もしていないのにツユダクを出してくる店をみかけるが(キャストの教育がなってないだけか)、「金を返せ」といいたい。
とても食えたモンじゃない。
誰があんな泥水みたいな飯を食うといった!
他人が何か勘違いしてツユダク頼むのは勝手だが、オレには迷惑かけるなといいたい。

…というのは、あくまで私の個人的主張である。
しかし、そもそも牛丼なんて下品なものを食べる私の味覚を変だと思う人もいるだろう。
また一方で当然、ツユダク派は私の味覚を疑うだろう。
人それぞれ。
…音楽も一緒よ。
※4
いつの間にかノリノリのティンクに改変され、あげくにアルゼンチンではボリビア伝統曲扱いでヘビーなフォルクロックにアレンジされてしまった。
ARBOLITO / "LA ARVEJA ESPERANZA"
DOBLE F PRODUCCIONES FK076 (ARGENTINA 2002)
ティンクのリズムのままで演奏されるが、完全無欠のロックだ。熱いぜ。



"Sariri 2"


【アルバム・データ】

Grupo AYMARA (1982)
SLPL-13470(1982)
LYRA (BOLIVIA)

1 AMANECER ANDINO (aire de huayn~o)
2 SARIRI 1 y 2 (estampa)
3 DANZA PARA COYLLUR (danza)
4 AYAWASKA (lamento huayn~o)
5 POR LOS CAMINOS (cancion-huayn~o)
6 JILAKATAS (danzas)
7 KAUQUIRURAQUI SARJATA (tarqueada)
8 SANTU SANTU (suris)
9 APTHAPI (mocen~os)
10 WACA TINTIS (danzas)

●残念ながらCDは発売されていない。


関連記事
別窓 | Grupo AYMARA | コメント:2 | トラックバック:0 |
<<アワティニャスは美しく獰猛だった。 | これを聴け! | 何てったってプレンダードス>>
コメント
--
M-8とM-9の間に「Illapa (suris)」が抜けているようです(DIC資料館様より)

ネットにこのアルバムの「CD版ジャケット」の画像が転がってましたが本物かどうか・・・
2013-12-24 Tue 20:33 | URL | Michi Yana #-[ 内容変更]
-あー!-
うっかりしておりました!
ご指摘ありがとうございます!
後で訂正しておきます。

ところで、CD版の画像って、"Lo Mejor"ってやつじゃないですか?LP版ジャケットの裏面をCD表ジャケットに持ってきたやつですが、中身は今までのベスト盤です。

これではありませんか?
2013-12-27 Fri 11:19 | URL | もち #-[ 内容変更]
コメントの投稿














管理者だけに閲覧

トラックバック
トラックバックURL

FC2ブログユーザー専用トラックバックURLはこちら
| これを聴け! |